日本国民に多大な感動や勇気を与え、社会に明るい希望を灯した偉大な功績を称える「国民栄誉賞」。これまで数多くのスポーツ選手がこの栄誉に浴し、歴史にその名を刻んできました。1977年の制度創設以来、数々の金字塔を打ち立ててきたアスリートたちは、どのような軌跡をたどってきたのでしょうか。
本記事では、国民栄誉賞を受賞した歴代のスポーツ選手一覧を解説します。王貞治氏の第1号受賞から、羽生結弦選手、国枝慎吾氏ら記憶に新しい偉大なアスリートたちの功績に加え、辞退者の背景にある真相まで詳しく紐解きます。
国民栄誉賞スポーツ選手の歴史と選考基準の全貌

国民栄誉賞は、広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えるような顕著な業績を挙げた者に対して内閣総理大臣が表彰する制度です。1977年(昭和52年)に当時の福田赳夫首相によって創設されて以来、政治、経済、文化、そしてスポーツなど多彩な分野の人物が対象となってきました。
スポーツ選手における受賞の傾向として、単なる競技の勝敗や記録の達成にとどまらず、「国民的感動」を巻き起こしたかどうかが大きなファクターとなります。公式発表資料や報道によると、選考にあたっては内閣官房長官が有識者などの意見を聴取しつつ最終決定を下す仕組みとなっており、その時代ごとの社会的影響力が強く反映されるのが特徴です。
歴代のスポーツ選手受賞者一覧と偉大な功績
制度創設から現在に至るまで、数々のスポーツ選手が国民栄誉賞を受賞してきました。ここでは、その軌跡を体系的に理解するために、主な受賞者と実績をまとめた一覧表を提示します。
| 受賞年 | 受賞対象(個人・団体) | 主な功績・選出理由 |
|---|---|---|
| 1977年 | 王 貞治(プロ野球) | 前人未到の公式戦通算756本塁打(当時)をはじめとする数々の野球界の金字塔と、国民的英雄としての活躍。 |
| 1984年 | 衣笠 祥雄(プロ野球) | 連続試合出場記録の当時の世界記録樹立と、不屈の闘志によるスポーツマンシップの体現。 |
| 2011年 | なでしこジャパン(サッカー女子日本代表) | FIFA女子ワールドカップでの劇的な初優勝を果たし、東日本大震災直後の日本に大きな勇気と希望を与えた。 |
| 2012年 | 吉田 沙保里(レスリング) | 世界大会13連覇・個人戦206連勝など、オリンピック・世界選手権を通じた圧倒的な無敗記録の達成。 |
| 2013年 | 長嶋 茂雄(プロ野球) / 松井 秀喜(プロ野球) | 巨人軍の黄金期を支え、プロ野球界の発展に歴史的貢献を果たした師弟コンビによる同時受賞。 |
| 2014年 | 羽生 結弦(フィギュアスケート) | ソチオリンピックでの男子フィギュア日本人初となる金メダル獲得と、東日本大震災の被災地への復興支援活動。 |
| 2018年 | 羽生 善治(将棋) / 井山 裕太(囲碁) | ※ボードゲーム分野での受賞。日本文化の振興に貢献。(※スポーツ枠外の参考) |
| 2023年 | 国枝 慎吾(車いすテニス) | パラリンピックでの金メダル多数獲得、グランドスラム優勝、車いすテニス界の世界的普及と圧倒的な競技実績。 |
このように、野球界のレジェンドである王貞治氏や長嶋茂雄氏から、個人競技の限界を突破した吉田沙保里氏、羽生結弦選手、そしてパラスポーツの歴史を塗り替えた国枝慎吾氏に至るまで、時代を象徴するアスリートたちの名が連なっています。
王貞治から羽生結弦・国枝慎吾へ:受け継がれるアスリートの魂
国民栄誉賞スポーツ選手の歴史を振り返るとき、各時代における「アスリートの社会的役割の深化」が見えてきます。1977年の王貞治氏の受賞は、プロ野球という国民的スポーツにおける個人記録の偉大さが社会全体で祝福された象徴的な出来事でした。
時代が下るにつれ、その対象は多様化していきました。2011年の「なでしこジャパン」の受賞は、過酷な状況にあった日本社会全体を一つに結びつけるチームスポーツの力を証明しました。また、2014年に当時のフィギュアスケート界を牽引した羽生結弦選手が受賞した際は、若年層における圧倒的な支持と、競技にかけるひたむきな姿勢が大きな共感を呼びました。
加えて、2023年に授与された国枝慎吾氏の栄誉は、パラスポーツの認知度と価値を飛躍的に高める契機となりました。「俺は最強だ!」の言葉通り、障害者スポーツの枠を超えて世界中のアスリートからリスペクトを集めたその功績は、国民栄誉賞の裾野を大きく広げるものとなりました。
辞退者の背景にある真相と選考をめぐる議論
国民栄誉賞を語る上で避けて通れないのが、過去に受賞を辞退した人物の存在や、選考に関する社会的議論です。報道各社・関係者の証言や公式記録によると、これまでに打診を受けながらも辞退を選択した著名人が存在します。
代表的な例として、大相撲で圧倒的な強さを誇った元横綱の福嶋敬治(双葉山)や、プロ野球のレジェンドである故・野村克也氏など、辞退や受賞に関する様々なエピソードが語り継がれてきました。多くの辞退者に共通する背景には、「現役選手としてまだ道半ばであることへのこだわり」「個人の業績ではなく競技全体への感謝を優先したいという謙虚な姿勢」、あるいは「政治的なパフォーマンスとして利用されることへの慎重な構え」などがありました。
こうした辞退の選択は、決して栄誉を軽んじるものではなく、アスリート自身の美学や矜持に基づくものであることが多く、かえってその人物のプロフェッショナルとしての高潔さを際立たせる結果となっています。
【国民栄誉賞スポーツ選手】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:国民栄誉賞を受賞すると、金銭や副賞などの金一封はもらえるのですか?
A1:制度上、金銭の授与や賞金といった直接的な財政的インセンティブは規定されていません。多くの場合、表彰状や記念品(時計や文化的な工芸品など)が贈呈されます。
Q2:スポーツ選手で初めて国民栄誉賞を受賞したのは誰ですか?
A2:1977年(昭和52年)に受賞した、当時の読売ジャイアンツの王貞治選手(現・ソフトバンク球団会長)がスポーツ界での第1号となります。
Q3:国民栄誉賞の受賞者はどのように決まるのですか?
A3:内閣総理大臣が決定しますが、実際には内閣官房長官が広く各界の意見や有識者の意向を聴取した上で、総合的な判断を経て正式に授与が発表されます。
国民栄誉賞スポーツ選手たちの軌跡は、単なる個人の栄誉の記録にとどまらず、日本社会がスポーツに何を求め、どのような感動を共有してきたのかを映し出す鏡でもあります。王貞治氏が開いた扉から、羽生結弦選手や国枝慎吾氏へとバトンが渡される中で、アスリートが社会に与える影響力のかたちは多様化し、より深い共感を生むものへと進化してきました。
今後も国際舞台で活躍する日本人アスリートたちが、新たな歴史を切り拓き、人々に夢と希望を与え続けることは間違いありません。栄誉の重みと歴史的背景を正しく理解することで、これからのスポーツ観戦やアスリートたちの挑戦がより一層味わい深いものとなるでしょう。