2026年現在、日本のラジオ放送業界において歴史的な転換期を迎えています。長年にわたり日本の音声メディアの中心を担ってきたAMラジオについて、民間放送ラジオ各局が相次いでワイドFM(FM補完放送)への移行やAM放送の休止・終了を検討・実施する動きが加速しています。「AMラジオ廃止はいつなのか」「なぜ今のタイミングでAM終了が進められているのか」と不安や疑問を感じているリスナーも少なくありません。
本記事では、総務省の実証実験や各局の経営状況、難聴対策の現状を踏まえつつ、AMラジオの廃止スケジュールや今後のリスナーへの影響について分かりやすく解説します。
AMラジオ廃止はいつ?民放ラジオ各局の移行スケジュールと現状

「AMラジオがいつ廃止されるのか」という疑問に対し、全国のすべてのAMラジオ局が一斉に停波するわけではありません。各放送事業者や地域によってスケジュールや対応方針が異なります。総務省や民放連(日本民間放送連盟)の方針に基づき、AM局は経営難の克服と設備更新の負担軽減を理由に、段階的な実証実験や運用休止を進めています。
特に地方のAMラジオ局を中心に、老朽化した大出力のAM送信所の維持コストが経営を圧迫していることが大きな要因となっています。一部の局ではすでにワイドFMへの完全移行を見据えた実証実験として、AM放送の長期休止や試験的な停波が実施されており、実質的なAM終了に向けたカウントダウンが始まっています。
AM放送の休止・終了を加速させる「経営難」と「送信所の老朽化」
民放ラジオがAM放送からの撤退やワイドFMへの移行を急ぐ最大の背景には、深刻な「AM局の経営難」と「送信所インフラの老朽化」があります。
AMラジオ放送は電波の性質上、広範囲に届く一方で、出力が非常に大きく、広大な敷地を必要とする送信アンテナや巨大な送受信設備の維持・管理に莫大なコストがかかります。これに対し、少子高齢化やインターネット・SNSの普及による広告収入の減少が重なり、従来のAM放送モデルを維持し続けることが経営的に極めて困難になっています。
また、多くの送信所が高度経済成長期に建設されており、現在、多額の費用を投じて設備を更新するか、維持費用の安いワイドFMやインターネット配信へ軸足を移すかの決断を迫られているのが実態です。
ワイドFM移行と難聴対策の現在地
AM放送の休止・終了に伴い、セーフティネットとして不可欠となっているのが「ワイドFM(FM補完放送)」の活用です。
ワイドFMは、AMラジオ放送の難聴対策(ビル影や山間部による電波障害、都市型難聴の解消)および災害対策の一環として、FM放送の周波数を利用してAMラジオの番組を放送する仕組みです。音質がクリアで、夜間の混信や電波障害を受けにくいというメリットがあります。
総務省や各自治体、放送事業者は、AMラジオの停波を進める一方で、リスナーに対してワイドFM対応ラジオへの切り替えを強く推奨しています。難聴対策エリアの拡大と合わせ、災害時の確実な情報伝達手段としてもワイドFMのインフラ整備が急ピッチで進められています。
radikoの普及と音声メディアのデジタルシフト
AMラジオの廃止を語る上で欠かせないもう一つの要素が、インターネットラジオプラットフォーム「radiko(ラジコ)」の普及です。
現在、多くのリスナーが従来のラジオ受信機ではなく、スマートフォンやパソコンを使ってインターネット経由でラジオ番組を楽しんでいます。radikoの浸透により、電波の届きにくい地域や電波障害の多い室内であっても、クリアな音声で放送を聴くことが可能になりました。
加えて、有料プランである「radikoプレミアム」の普及により、エリア制限を超えて全国のラジオ番組を聴取するリスナーが増加しています。こうした音声メディアのデジタルシフトが、AM放送という物理的な地上波インフラに依存しない経営・放送モデルへの転換を後押ししています。
AMラジオ廃止・移行の経緯と影響を整理する比較表
AMラジオからワイドFMおよびデジタル配信への移行について、主な項目や特徴を以下の表に整理しました。
| 項目 | 従来のAM放送 | ワイドFM(FM補完放送) | インターネット配信(radiko等) |
|---|---|---|---|
| 電波・伝送方式 | 中波放送(AM波) | 超短波放送(FM波) | インターネット回線・IPサイマル |
| 主なメリット | 広範囲への電波伝播、既存受信機の普及 | 音質が良い、都市型難聴やビル影に強い | エリア制限なし(プレミアム)、高音質、タイムフリー |
| 課題・デメリット | 設備維持コスト高、災害時の弱点、混信 | 山間部等での届きにくいエリアの存在 | 通信環境への依存、リアルタイム通信料の発生 |
| 現在の位置づけ | 順次休止・終了の検討・実証実験が進む | AM代替の主軸として整備が進行中 | 補完から主たる聴取インフラへ急速にシフト |
リスナーへの影響と今後の対策
AMラジオの廃止や休止が本格化する中で、リスナーが受ける影響と取るべき対策についても知っておく必要があります。
最初に、これまで長年愛用してきたAM専用の古いラジオ受信機では、一部の地域や放送局で番組が聴けなくなる可能性があります。そのため、今後はワイドFMに対応したラジオ受信機(FM/AM両対応、あるいはDSPラジオなど)への買い替えが必要となります。
また、自宅や外出先でスマートフォンを活用しているリスナーであれば、radikoアプリの利用をメインに切り替えることで、電波状況に左右されずに快適に番組を楽しむことができます。放送局側もリスナーの視聴環境の変化に合わせて移行期間を設けていますが、早めの情報確認とデバイスの準備が推奨されます。
【am ラジオ廃止】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:すべてのAMラジオ局が一斉に消滅するのですか?
A1:いいえ、一斉にすべての局が廃止されるわけではありません。各放送事業者が経営状況や総務省の実証実験の進捗を踏まえ、個別に判断・段階的に実施しています。
Q2:AMラジオが聴けなくなったら、どうすれば番組が聴けますか?
A2:ワイドFM(FM補完放送)対応のラジオ受信機に切り替えるか、スマートフォンの「radiko」アプリを利用することで、これまで通り番組を聴くことができます。
Q3:AM放送が終了する主な理由は何ですか?
A3:巨大な送信所設備の老朽化に伴う莫大な更新費用の負担と、近年の広告収入の減少による経営効率化、および災害時の安定した放送インフラ維持が主な理由です。
AMラジオの廃止およびワイドFMへの移行は、放送業界が直面するインフラの老朽化と経営効率化の要請から避けられない大きな潮流となっています。2026年現在、実証実験や段階的な休止を経て、音声メディアはよりクリアで効率的なデジタル・FM環境への移行を急ピッチで進めています。
リスナーとしては、情報の変化に戸惑うことなく、ワイドFM対応機器の導入やradikoなどのインターネット配信の活用を柔軟に組み合わせることが、今後も快適にラジオ文化を楽しみ続けるための賢明な判断基準となります。